遺産の相続や生前整理などで一軒家や空き地・マンションを相続する方のなかには、「相続しても住む予定がない」や「両親が老人ホームに入居して空き家の状態だ」という事情のある方もたくさんいらっしゃいます。

毎年の固定資産税の支払いがもったいないと感じられる方も多く、そうしたタイミングで「空き家を売りたい」と考えるのではないでしょうか。

すでに人が住んでいない状態の住居を売却する際、不動産の査定・売却価格のほか、敷地内外に残された家具や家電製品などのいわゆる「残置物」をどうするかという問題も出てきます。

ここでは不動産売却の際に空き家の残置物を撤去するメリットとその方法を解説します。

なぜ空き家の状態は危険なのか？

住人が亡くなったり転居した後、誰も住んでいない空き家の状態は人が住んでいる状態よりも老朽化のスピードは早まります。

弊社が行った遺品整理や空き家片付けの経験上でも、空き家の状態が数か月続いた場合と数年間続いた場合は築年数が同時期でも圧倒的に後者の方が老朽の程度は大きかったです。

それにはいくつかの要因があります。

①家をこまめに掃除や管理をする人がいない

人が住んでいる家は掃除や修繕などはきっちりと管理され、手入れが行き届きます。

ですが人が住んでいない場合は家のどこかにダメージがあってもリフォーム工事などの修繕作業を行ったり依頼することが難しくなります。

万が一、天井などの雨漏りなどが発生しても長期間気付かないなどの事態が起こった場合には天井だけでなく板木まで沁み込み、腐ってしまう可能性もあります。

また長時間の換気不足などによるカビの発生や腐食などもあるため、注意が必要です。

②水道や電気など住宅設備の劣化や破損

「長期間使うことがないから」という理由で水道や電気を止めてしまう場合、使わなくなることで水道管やブレーカーなどの住宅設備の寿命は延びるイメージですが、反対に劣化のスピードを早めてしまいます。

とくに排水管は劣化だけでなく悪臭や害虫発生の原因等にもなり、最悪の場合は破裂する可能性もあります。

③イタチやネズミなどの害獣被害

築年数の古い一軒家などは老朽化によって徐々に出来た隙間などから屋根裏などにイタチやネズミ・ハクビシンなどの害獣が住み着く場合があります。

とくに長期間人が住んでいない状態の家は野生動物にとって危害を加える存在がいないため、そういった害獣の巣などができやすく、悪臭や爪による壁・柱へのダメージ、糞尿などによる腐食などが発生します。

最悪の場合、配線ケーブルなどを噛んでしまい断線し、火災に繋がるケースもあるためかなり危険な存在です。

④屋外物や雑草の放置による害虫発生

雑草は人が手入れをしない限り生え続け、中には人の身長ほどまで成長するものもあります。

長期間の放置により害虫も繁殖しやすく、空気の通りが悪く湿度も逃げにくいため、シロアリが発生する可能性が高まります。

また枯れた状態で放置された庭木などは台風などの自然災害の時に倒壊するおそれもあるため、敷地内だけでなく近隣被害まで及ぼす可能性もあります。

また庭の手入れが出来ていないことから「長期間人が住んでいない」などの憶測がされやすく、空き巣被害などに遭いやすい傾向があります。

ほとんどが人が住んでいないために目が行き届かず、リフォームや清掃などが行えなかったことが要因である場合が多いです。

空き家の状態が長く続いたために老朽化が進み、結果的に事故や損壊につながる危険性が高まります。

またその他にも「空き家の敷地に不法投棄された」や「空き家が詐欺犯罪に利用された」などのケースもあり、いずれも人が住んでいないために被害につながる可能性が高いため、空き家の状態が長く続くのは危険だということがわかります。

空き家を売却する方法は？

不動産を売却するにあたって、２つの方法があります。

●空き家をそのまま売却する

●空き家を解体し、更地にした状態で売却する

それぞれのメリット・デメリットを説明します。

●空き家をそのまま売却する

●空き家を解体し、更地にした状態で売却する

コスト面・売却までの期間・買い手のつきやすさなど、それぞれのメリット・デメリットがあります。

解体をして更地にした方が売れるスピードが早まる可能性もありますが、やはり費用面での不安が残ります。

また一方で解体をせずに物件ごと売却をする方が解体費用もかかりません。

とくに今流行している「古民家」といわれる物件に関しては一定層の需要がありますが、やはり築年数の経った家の場合は老朽化が懸念されるため一般的には売れにくい傾向もあり、反対に維持管理費や修繕費用のコストが発生する場合もあります。

いずれもまずは不動産業者に査定見積を依頼し、まずは空き家がいくらで売れるのかを調べた上で解体をするべきかどうかを決めるのがベストです。

空き家を売れやすくするにはどうしたらいいの？

先述した通り、解体をせずに家を残したまま売り出すのは買い手がつきにくいや売却価格が下がるなどの傾向があります。

ではなるべく売れやすくするためにはどうすればよいのか？

まず重要になるのは空き家の状態で家具や家電や日用品などの「残置物」がそのまま残っていないかがポイントになります。

もともと住んでいる人が亡くなった、または転居などでいなくなった等の理由で空き家になり、その後残置物を撤去せずに放置した場合、カビや害虫の発生・食料品類や生ごみなどの悪臭が発生しやすくなります。

また家具や家電で隠れてしまっていたために劣化や傷・汚れなどの家へのダメージが見えなかったなど、売却時に買主とトラブルになる可能性も高く、売却価格や売れるまでの期間に影響を与える場合があります。

どちらにしても元々住んでいた人の生活感が残る物件は懸念される傾向があり、なかなか買い手が見つからないケースがほとんどです。

そのためにも「空き家を売りたい」と考えた時に、まずは家の中は空っぽにすることを考えておきましょう。

空き家を売れやすくする３つのポイント

不動産会社や購入希望者が内見に来たとき、「買いたい」と思わせる家に仕上げることがポイントになります。

そのためのポイントは３つあります。

１.家の中を空っぽにする

不動産会社や購入希望者は内見の際、まず「家のダメージはどれくらいあるだろう」と確認しながら家の中を見ます。

その際に家具や家電などの家財道具が残っている場合には目視での確認ができないため、最悪の場合を想定しての査定となり、本来の査定額よりも大幅に金額が落ちてしまいます。

また購入希望者の目線から考えても、残置物が残っている場合は次の入居者が処分をしなければならないため、結果購入を見送られることも多くあります。

より家の内見がしやすく、きちんとした査定をしてもらうためには家の中を空っぽにすることが大事になります。

２.拭き掃除などの簡易クリーニングをする

長期間空けていた家はホコリなどが溜まりやすく、また換気不十分となるため独特の悪臭などが漂う原因となります。

また壁や床・水回りなどに溜まった汚れなどは傷などのダメージを隠すため、きちんとした評価を受けられない可能性があります。

購入希望者は内見に訪れる時、まずは「この汚れがクリーニングなどで落とせるものなのか」や「壁紙やフローリングの貼り替えなどの修繕が必要なのか」を想定するため、掃除の行き届いていない空き家は悪い印象を与えてしまいます。

そうした事を避けるためにもかならず掃除を行い、見栄えを整える必要があります。

３.庭木や雑草など屋外の手入れをする

不動産会社や購入希望者が内見を行う際、まず一番に見るのは屋外の様子です。

雑草が伸びて敷地を覆っている・庭木が枯れている・ツタが這っているなどの状態の場合、見栄えや第一印象が悪くとらえられてしまいます。

少しでも印象よく、購入希望者の意欲を高めるためにも庭の雑草の手入れなどはこまめに行うべきでしょう。

また売却までが長期間にわたる場合には防草シートを張るなどして対策を行い、常日頃整えておくことが大事です。

空き家を売りたいと思ったら、まずは撤去作業から！

空き家を長期間に渡って管理するのは、固定資産税や手間のかかることが多く、非常に大変です。

「手放したい」と思った時にはまずどの方法がどのくらいコストがかかるのかを調べることも重要ですが、まずは最優先に残置物の撤去を行い、空き家を空っぽにすることが大切です。

弊社でも売却を前提とした遺品整理や生前整理・空き家の片づけのご依頼を多くいただいておりますが、中には「思い入れのある家なので、できれば取り壊したくない」という希望のお客様もいらっしゃいます。

そうしたお客様には無理に解体などを勧めず、なるべくご希望通りに売却を行えるように家具や家電の撤去や日用品の処分、見栄えを整えるためのクリーニングや草刈り作業まで行っております。

また売却期間が長期にわたる可能性のあるお家に関しては防草シートの張替を行うなど、空き家売却のサポートを行います。

「空き家を売りたい」とお考えの方は是非一度お問い合わせください。