『終活』とは?その意味と目的を解説します。
近年、日本では「終活(しゅうかつ)」という言葉が広く認知されるようになりました。
終活とは、自分の人生の最期を迎える前に自身の老後や死後について考え、準備を整える活動を指します。
エンディングノートの作成や遺産整理、相続や葬儀などの手配などが含まれますが、自分が死んだ後にどうするかの準備だけでなく、自分の生き方や価値観を見直す機会としても捉えられています。
終活の目的は大きく分けて2つあります。
一つは、残された家族や親しい人々に負担をかけないための準備です。
遺産相続や葬儀の段取り、遺品整理などは、家族にとって大きな負担となることがあります。
そのため、終活を通じてこれらの手続きを簡潔にまとめておくことは、家族にとっての優しさとも言えるでしょう。
もう一つの目的は、自分の人生を振り返り、どう生きたいか、どう人生を終えたいかを考えることです。
終活を通じて、後悔のない人生を送るためのきっかけをつくることができるかもしれません。
終活の始め方
では、具体的にどのように終活を始めれば良いのでしょうか?
終活は一度に全てを完了させる必要はありません。
少しずつ、自分の出来る事から決めて、ゆっくりと進めることが大切です。
1. エンディングノートの作成
エンディングノートは、自分の意思や希望をまとめたノートです。
法律的な効力はありませんが、家族に対して自分の考えや希望を伝えるための重要なツールです。
エンディングノートにはさまざまな会社や団体が発行しているものがありますが、主に以下のような内容を記載すること多いです。
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- 自分の基本情報(名前、住所、生年月日など)
- 緊急連絡先や親しい友人・家族の連絡先
- 財産や保険の情報
- 遺言や相続に関する希望
- 葬儀の方法や墓地の希望
- 延命治療に対する意向
- 最期の言葉や伝えたいメッセージ
これらの情報を整理し書き留めておくことで、自身の家族が戸惑うことなく手続きを進めることができるでしょう。
また、エンディングノートは自分の人生を振り返るきっかけにもなり、自分が何を大切にしているのかを再確認する手助けになります。
2. 遺産整理と相続の準備
遺産相続は家族にとって最も大きな問題になり得る場合があります。
「遺産争族」という言葉がある通り、資産の多さや相続人が多い場合や、とくに遺産が不動産や株式など複雑な形態を取る場合、相続に関するトラブルが発生しやすくなります。
自分が生きているうちにどの財産を誰に相続させるのかを明確にしておくことが、家族に対する思いやりと言えるでしょう。
また上記に加えて、法的な効力を持つ遺言書の作成も重要です。
遺言書を残すことで法律に則った形で相続が進められるため、トラブルを未然に防ぐことができます。
遺言書の作成には、専門家(弁護士や公証人)に相談するのが望ましいでしょう。
3. 葬儀とお墓の準備
多くの人が、どのような形で葬儀を行うのかについて考える機会は少ないかもしれません。
しかし、葬儀の形式や規模、場所についてあらかじめ自分の希望を伝えておくことは、家族の負担を軽減する上で非常に重要です。
葬儀の費用は思った以上に高額になることが多く、家族にとって大きな負担となることがあります。
そのため、生前に葬儀費用を準備しておく「葬儀保険」や、あらかじめ葬儀会社と契約を結んでおく「生前契約」などの利用を検討すると良いでしょう。
また、自分が埋葬される場所についても考えておくことが重要です。
従来の墓地や納骨堂の他、最近では自然葬や樹木葬といった新しい形の埋葬方法も注目されています。
自分の価値観や希望に沿った方法を選び、家族に伝えておくことが大切です。
4. 生前整理と遺品整理
終活の一環として「生前整理」を行うことも重要です。
生前整理とは、自分が亡くなった後に残される物品を整理し、不要なものを処分する活動です。
これにより遺品整理の際にのこされた家族が抱える負担を軽減することができます。
また自分にとって大切なものや思い出の品を整理することで、自分の人生を振り返り、心の整理を行うきっかけにもなります。
写真や手紙、愛用品など、残しておきたいものを選び、それをどのように家族に伝えるかも考えておくと良いでしょう。
終活のメリットは?
終活には多くのメリットがありますが、最も大きなメリットは「心の安心感」を得られることです。
自分の最期について考えることは、時には不安や恐怖を伴うかもしれません。
しかし、終活を通じて計画を立てることで、その不安を和らげることができます。
また終活を行うことで、自分がどのように生きたいのかを再確認する機会にもなります。
多くの人は、人生の終わりを意識することで、今をより充実させるための行動を起こすことができると言います。
例えば、家族や友人との時間を大切にすることや、やりたかったことに挑戦することなど、終活は「死」を意識しつつも、「生きる」ことにフォーカスした活動でもあるのです。
さらに、家族に対する思いやりとしての終活も大きな意味を持ちます。
遺産や葬儀、遺品整理に関するトラブルを未然に防ぐことで、家族が心穏やかに過ごせる環境を作ることができます。
終活を始めるタイミングはいつ?
終活は特に高齢者だけが行うものではありません。
若い世代でも終活を始めることにメリットがあります。
特に、病気や事故といった突然の出来事に備えるためには、早めに終活を始めておくことが大切です。
終活を始めた方に尋ねたところ、実際に「終活を考え始めたタイミング・きっかけ」は以下のような時が挙げられます。
- 退職や年金受給を迎えたとき
- 子供が独立したとき
- 持病が発覚したとき
- 配偶者を失ったとき
- 50代〜60代を迎えたとき
これらのタイミングで自分の人生を振り返り、終活を考えるきっかけとしてみてください。
大切な人のためにも、ぜひ終活をはじめよう。
終活は、自分自身のためだけでなく、家族や周りの人々にとっても大切な活動です。
人生の最期をどのように迎えるかを考えることで、今をより充実させることができ、後悔のない人生を送るための道筋を描くことができます。
少しずつで構いませんので、終活に取り組んでみてはいかがでしょうか。
エンディングノートの作成や、遺産整理、葬儀の準備など、どれから始めても良いのです。
自分のペースで、自分らしい終活を進めていくことで、心の平安と安心感を手に入れることができるでしょう。