大分市で空き家の解体をお考えの方へ【準老朽危険空き家等除却補助金新設】
2025年5月に大分市で空き家に対する対策協議会が行われました。
今まで大分市では「老朽危険空き家等」の除去に関しては補助金を設けていましたが、本年度6月より「準老朽危険空き家」も対象とする新たな支援制度がスタートしています。
本記事では大分市内に空き家を持っている方・今後解体や売買を検討している方に向けてお話いたします。
「老朽危険空き家等除却補助」と「準老朽危険空き家」の違い
大分市では2025年に「老朽危険空き家」に加え、新たに「老朽危険空き家」も補助対象になりました。
空き家に関する問題は大分県だけではなく、日本各地で社会問題化し、こうした支援制度を設けている自治体は多くあります。
では具体的に「老朽危険空き家」と「準老朽危険空き家」に関して、この2つの特徴と違いについて大分市のホームページに記載されている補助対象の条件をもとに解説します。
老朽危険空き家とは
老朽危険空き家とは、その名の通り「倒壊や火災などの危険性が極めて高く、市が「危険」と判定した空き家」が対象となります。
地震や台風などの災害による倒壊の恐れや近隣への被害を想定し、もっとも危険度が高く、早急な除却が必要な空き家です。
大分市の詳しい補助対象条件は下記となります。
・ 1年以上空き家で使用していないもの。 ・木造または鉄骨造の住宅であること。 ・住宅の老朽の程度が市の定めた基準(不良度の評点100点)以上であること。 ・ 周辺の生活環境に悪影響を与えていることまたはその恐れがあること。 |
(参照:老朽および準老朽危険空き家等除却補助について/大分市)
基本的には大分市が現地にて確認し、危険性が高いかどうかを判断する流れとなりますが、対象であるかどうかをまず事前確認する方法として大分市は調査票(チェックリスト)を公開しています。
詳しくはリンクよりご確認ください。
準老朽危険空き家とは
次に2025年に新しく補助対象となった準老朽危険空き家についてです。
・ 1年以上空き家で使用していないもの。 ・ 木造住宅であること。 ・昭和56年5月31日以前に着工されたものであること。 ・ 耐震診断等で耐震性がないと認められるもの。 ・ 住宅の老朽の程度が市の定めた基準の範囲内(不良度の評点80点以上100点未満)であること。 ・ 周辺の生活環境に悪影響を与えていることまたはその恐れがあること。 |
(参照:老朽および準老朽危険空き家等除却補助について/大分市)
対象は木造住宅のみ・着工日の指定があるなど、老朽危険空き家よりもやや条件が多く、調査項目は厳しめです。
しかし、今後地震などの災害によって倒壊の可能性がある等、後危険性が高まると見込まれる空き家に対する補助のため、現状で空き家の状態で尚且つ解体等を検討されている方にはぜひ活用して頂きたい制度になります。
どんな経費が補助対象になるの?
新しい制度である「準老朽危険空き家除却補助」、実際にこの制度で補助対象になる経費の例は以下になります。
■対象経費の例
経費の種類 | 内容 |
---|---|
解体工事費 |
建物の取り壊しにかかる費用(人件費・重機使用料など) |
廃材処分費 |
解体により発生した廃材(木材・瓦・コンクリートなど)の運搬・処分費用 |
足場・養生費 |
周辺の安全確保のための足場設置や養生シート設置の費用 |
補助を受ける為の要件として、『敷地内を更地にすること』が基本要件となります。
そのため、この補助金は解体工事費用を補填する目的での利用が大前提です。
しかし、中には補助対象とならない経費もあるため、注意が必要です。
補助対象外の経費
空き家を解体工事するにあたり、補助の対象にならない経費もあります。
■対象外経費の例
経費の種類 | 内容 |
---|---|
建物内の片付け費用 |
家財道具やゴミの処分費 |
庭木の伐採・整地 |
解体後の土地整地、樹木の伐採や除草など |
建替え費用 |
更地後に新築を行う費用 |
契約書作成や印紙代 |
工事契約に必要な諸経費は対象外となることが多い |
この補助金では、あくまで更地にすることを目的とした事業のみを対象とするため、解体前の家財撤去や解体後の整地・建て替え工事に関しては対象となりません。
一方で家財撤去などの作業に関しては別事業で補助金の対象となる場合もあります。
「準老朽危険空き家等補助」NG対象
「除却」とは、行政用語で“建物の解体”のことです。
空き家の本体をまるごと取り壊す作業を指します。
そのため前述したとおり、この除却事業以外の経費に対しては補助の対象外となります。
たとえば、
-
建物の一部を残す(例:土台や基礎だけ残っている)
-
家財道具が中に残っていて片付いていない
-
ガレージや倉庫だけ解体して母屋は残す
-
解体後、すぐに建替え工事が始まるが、まだ解体中
上記のような状態の場合、補助の対象にはならない可能性があります。
また、あくまで空き家の本体のみ除却し、尚且つ更地にすることが目的のため、準老朽危険空き家等補助は倉庫やカーポート、塀など、対象建物“以外”の構造物の解体作業は対象外となります。
補助対象まとめ
〇補助の対象になる | ✕補助の対象にならない |
・市が認定した「準老朽危険空き家・老朽危険空き家」本体の解体費 | ・家の中の家財道具・ゴミの処分費用 |
・家そのものの撤去に必要な費用(足場・養生など) | ・倉庫やカーポート、塀など、対象建物“以外”の構造物の解体(※1) |
・廃材の運搬・処分費 | ・不用品回収・粗大ゴミの片付け費 |
「老朽危険空き家」と「準老朽危険空き家」のどちらも除却事業に対する解体工事のみを対象とした補助制度になるため、一見必要そうに見えても補助対象にならない作業も多くあります。
とくに「準老朽危険空き家」の補助制度を利用する方に関しては、倉庫(物置)・カーポート・塀・立木(敷地内の木・植栽)といった母屋以外の構造物の解体や植栽の除去に関しては注意が必要です。
ただし「老朽危険空き家」と判断された空き家に関しては母屋以外の構造物の解体工事・植栽の除去も補助対象となります。(※1)
補助金額の上限額は?
「老朽危険空き家等補助」補助金額
■上限補助金額:100万円(1敷地につき)
|
具体的な例を挙げていきます。
例①:解体工事費用が80万円だった場合 ・80万円 × 1/2 = 40万円 |
例②:解体工事費用が240万円だった場合 ・ 240万円 × 1/2 = 120万円 補助金額は100万円 |
となります。
「準老朽危険空き家等補助」補助金額
続いて新設された準老朽危険空き家等補助事業については、老朽危険空き家等補助に比べ補助率23%(上限50万円)とやや低いですが、早期の解体に対して支援が受けられます。
■上限補助金額:50万円(1敷地につき)
|
具体的な例を挙げていきます。
例①:解体工事費用が100万円だった場合 ・100万円 × 0.23 = 23万円 |
例②:解体工事費用が300万円だった場合 ・300万円 × 0.23 = 69万円 |
となります。
補助金は「申請・審査 → 交付決定 → 着工」が鉄則!
「老朽危険空き家等除却促進事業」や「準老朽危険空き家等除却促進事業」の補助金を利用するためには、事前に大分市の「交付決定通知」を受けてからが原則となります。
もし利用を検討している場合には、交付決定前に工事に着手してはいけません。
すでに着工済みの場合は補助金の交付が受けられないため、まずは大分市に問い合わせ、補助金申請希望の旨を申込、申請から交付決定までの流れを確認してください。
補助金対象をチェック
補助金利用を検討する際には、まず大分市のホームページにて下記の内容を確認ください。
-
- 補助対象経費(解体工事など)
- 対象者(申請者)
- 補助要件
- 募集期間※
とくにこの募集期間に関しては、補助事業の募集戸数を超えた場合に随時変更となる場合もあるため、チェックが必要です。
まとめ
補助制度を上手に使って、空き家問題を解決しよう
老朽化した空き家は、倒壊や災害時のリスクだけでなく、近隣トラブルや資産価値の低下につながることもあります。
大分市の「老朽危険空き家等除却補助」や「準老朽危険空き家等除却補助」を活用すれば、最大50~100万円までの補助を受けながら、安全に解体を進めることが可能です。
ただし、補助金を受け取るには「工事前の申請・交付決定通知」が必須なので、タイミングを間違えると補助対象外になる点にはご注意を。
弊社では、空き家に関する相談や活用サポートを受け付けています。
お気軽にお問い合わせください。
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大分市の「老朽危険空き家等除却補助事業」とおよび「準老朽危険空き家等除却補助事業」の補助率をもとに、金額算出シミュレーター(簡易版)を用意しました。
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↓詳しくは下記リンクをご確認ください。
▶️補助金シミュレーター(老朽危険空き家等除却/準老朽危険空き家等除却)
(2025年7月版)